事業承継・事業再生について

1.少子化による日本経済の縮小と中小企業の事業存続

日本人人口は2005 年で1億2612万人でしたが、このまま少子化が進むと2050年には1億人を割り込むという予想さえあります。人口が2000万人以上減るということは、それだけ日本経済を支える国内市場が縮小するということを意味します。

縮小化する国内市場を前提とする限り、企業間のシェアーの奪い合いは激化し、長期的に見れば企業体質は弱まって行くと思われます。その打開策としては、海外市場を目指して進出するというのも1つの考えかもしれません。しかし、全ての企業が海外に進出できる程の規模を有している訳ではありません。

一方、現時点で、将来を見越して事業を廃止するのも、そこで働く社員・暖簾そして社内で蓄積した技術を考えれば、社会的にも損失であります。


2.後継者難

国内市場の縮小化、競争激化、そしてそれに少子化という背景も手伝って、中小企業においては、企業経営を引き継ぐべき後継者を誰にするかという問題が発生します。経営を承継すべき子供がいない、あるいは子供はいても引き継ごうとしない、その適性がない。社員の中で選ぼうとしても、事業承継のための資金調達が出来る者がいない、経営能力のある者がいない、という事態も有ります。このような後継者難の前に、手をこまねいているうちに、企業の財務状態は悪化し、かつ経営者の高齢化が進み、結果的に企業は活力を失い、倒産に追い込まれていくことも珍しくありません。

3.事業承継(企業合同)

国内市場の縮小化、他方において後継者難という板挟み状態を解決する方策として、企業経営者が元気なうちに、あるいはまだ企業の財務状態が健全な時に、会社を第3者に売却(事業を承継)して貰うという方法があります。この事業承継が、合理的かつ適正に行なわれることで、経営者及びその家族は、経営者引退後の生活資金の確保をなすことが出来ます。また社員も職場を失うことはなく、事業承継者も既存の会社のインフラの上に更に事業を展開することが出来ます。事業承継が適正且つ合理的に行われれば、社会経済的にも有益であるという所以でもあります。

事業はその能力有る運営者無くしては成り立ちません。特に中小企業の場合、家業乃至その延長線上に事業が成り立っている場合が多いので、運営主体の移行が円滑になされることが最重要課題です。

ここでポイントとなるのは、事業承継される会社の価値の適正な評価額を査定して貰うことです。この適正評価がないと、得てして主観的な評価を双方がしてしまい、承継が頓挫したり、事業を承継した企業の経営に支障が生じたりします。適正な評価を受けて初めて、承継される事業の客観的価値が明確になり、事業承継に関わる両当事者も納得し、事業承継そのものも成功します。

4.事業再生

事業が行き詰まりかけた場合、これに対応する手段としては、清算と再生との2つの手段があります。経営者であれば、先ずは再生を目指すことは当然です。これまでに築き上げてきた事業資本を清算により、雲散霧消することは社会的な損失でもあります。しかしながら、行き詰まりが生じた以上、これまでとは異なる視点から事業の展開を図る必要性があります。再生へ向けたスポンサーの存在が不可欠であり、再生事業者とスポンサーのマッチングが重要です。

5.専門家ネットワークによるお手伝い

事業承継・事業再生の内容、問題は千差万別ですが、個々の事案に即した対応、そして各種専門家による多面的対応も必要です。当事務所では、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、社会保険労務士、中小企業診断士、一級建築士、コンサル等の専門家集団でチームを作って、対応致しております。