都市再開発法について

1.「街づくり」の都市間競争

競争力を有する「街づくり」を行うには、これまで行われて来た手法、すなわち一軒一軒の権利者を借地借家法などの知識に基づいて個々的に解決する手法では、対応できません。しかし、今日、各都市間の競争において、開発の迅速性が問われる時代が到来しています。その意味で、「街づくり」を一定の範囲で強制力をもって遂行する仕組みを持つ「都市再開発法」の知識が、今日「街づくり」を行う上では欠かせないものとなっております。


2.行政から司法へ

ところで、都市再開発法第98条2項は行政代執行の制度を設けています。従前はこの行政代執行が都市再開発法で認められていることを根拠に、移転を拒む権利者に対して司法の場で明け渡しを求めることは出来ないという考え方がありました(行政と司法の二元論)。この考え方に基づけば、行政が代執行を行わない限り、権利者との関係をいつまでも解決できません。行政が、一再開発組合のため、政治的事情で行政代執行を行わないことは言うまでもありません。このような考え方のもとで、組合施行の市街地再開発事業が遅々として進まない状況に陥っていました。

それが、平成11年7月22日に言い渡された東京高裁の判決(判例タイムス№1020・P205頁以下掲載)を契機に、権利者との関係を、司法の場で解決することが可能となり、市街地再開発事業の迅速化が図れるようになりました。

3.法律家としての「街づくり」のお手伝い

当事務所は、上記判決の裁判を担当して以来、数々の都市再開発法に関連する判決を得て参りました。そして、その裁判での経験に基づいて、多数の市街地再開発組合からの様々なご相談を受け、「街づくり」のお手伝いさせて頂いています。

今後とも、その経験をもとに研鑽を重ね、クライアントの皆様のお役に立ちたいと考えております。